「越ゆ」とヤ行に活用します。甲の類はア行であり乙の類はヤ行であります。こういう風に区別されておったものであるということが奥村栄実の研究によって判ったのであります。ところが、この研究はその後余り学界の注意を引いていなかったのであります。けれども、明治以後になって大矢透《おおやとおる》氏がこれを新たに調べ直してその説が正しいということを証明し、そうして、もう少し材料を補って『古言衣延弁証補』というものを書かれたのであります。ごく少数の、例外と見られるものがありますけれども、これは何か他の説明が出来るものと思います。恐らくこの結果は疑いのないものと思います。古代においてはア行の「エ」とヤ行の「エ」の区別があったということは、この研究によっても確かめられたと考えてよいと思います。
二
前回述べましたのは、古代においてもまた現代の我々も、それぞれ違った仮名として認めている「いろは」四十七文字は、その他に色々の仮名があっても、それはいわゆる変体仮名であって、どれを使っても四十七字の中のどれかと同じものであるが、しかし四十七字のおのおのは互いに別なものであって、他のものをもって代用す
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