している訳でありますから、違った文字が幾つあるかということを見れば、違った音が幾つあるかということははっきり判るはずであります。ところが実際はそう簡単には行きません。これは現代の言語について考えてみてもよく解ることですが、我々はちょっと考えると、仮名で日本語を書いた場合には大抵同じ音はいつも同じ文字で写されているという風に考えている。ところが例えば「やま」なら「やま」という字、これは片仮名と平仮名とがありまして「ヤマ」とも書けば「やま」とも書く。この片仮名と平仮名とでも同じでないとも言える。しかしこのことはしばらく別にして、平仮名の場合について考えてみても、現代において変体仮名を使いますから、同じ音をいつも同じ文字では書かず色々違った書き方をしております。「ア」の音でも「あ」とも「※[#「※」は変体仮名、24−7]」とも書く。これは現代の言語ですから、どちらでも音としては同じ音だということが解っておりますが、形から見ると「あ」と「※[#「※」は変体仮名、24−8]」は何ら関係のない形であります。「カ」でも「か」もあれば「※[#「※」は変体仮名、24−9]」もあり「※[#「※」は変体仮名
前へ
次へ
全124ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
橋本 進吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング