に大まかな気楽げなかつかうをして、夕立雨の時などはうぶ毛の生えたまつ青な肌をポト/\と雫がつたふ。夕立晴の雲がうごく頃には、柄の長い純白な瓢の花が、涼しげに咲き出す。この外にもポプラの樹に這ひついてゐる瓢が三本。之れはアダ花が咲くのみで、まだドンな形のとも見当がつかない。
 一体うちでは棚をつらう/\と話しあつてゐる中に、樹に垣に地面にどの蔓もが青々と這ひまはり、そこら中に花が咲き出したのであつた。
 さて私は、茄子や葉鶏頭の露にふれつつ径を歩むと、そこには瓢の葉をきれいにまきつけた低い垣根が、あちこちに長瓢をぶら下げてゐた。この瓢箪は頸の長い、瓢逸ないかにもごま[#「ごま」に「(ママ)」の注記]な呑気げなかほして、一とゝころに四つも五つもよりあひ、はては蔓が重くなつて地べたに尻を落ちつけてしまつてゐるのもある。こつちのえにしだの枝に捲きついてゐる一尺余りの長瓢は、丁度窓から見るのにころあひな長短で、かつかうよく宙ぶらになつてゐた。そしてその一つの蔓先は、隣の爺さんの畠へ垣根ごしに侵入し、そこに尻曲りの長瓢が、くびをもたげかげんに二つ。ころりと地上に露出してゐる。そこぎりで蔓先をとめて
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