した脚の、裸体の女性を、柔らかい曲線と美しい透った色調で明るいグリーンの草と、光り、陽炎の中に彫刻的に歩み佇たせて一幅の油画ともなろう。
陽炎のまつわる足という表現が陽炎の特性をよく把握している。
[#天から2字下げ]春暁やあとさきもなき夢の橋 妙子
ぼうっとしてそれこそ、ばら色の靄でもかかっている様な、春暁のねむりの中に、ほっかりと七彩の夢の浮橋があとさきもなくかかっている。そこに曙の精[#「曙の精」に傍点]とよばるる女神が裳をひいて佇みつつある。
春の曙のとりとめもない夢というものを、メーテルリンクの象徴劇のよう、取扱っているのは面白い。大体、夢をフロイド式に分析すればこむつかしい意味もあろうが、詩中の夢の世界には、何の理屈も聯絡もない、写生万能時代には空想的でめずらしく象徴の匂いがある。
[#天から2字下げ]木彫雛さくらの花をまゐりたれ てい子
この句はかつてホトトギスで評された句で、今更ここに多言する必要もあるまい。好みの高い木彫雛に桜の花をまいりたれ[#「まいりたれ」に傍点]という、清純な取材なり感情の息吹が高いしらべとなって、内容の美しさを深めている。感
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