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満天の綺羅星をいただいて咲きみてる桜のけだかさ。灯を配した花の句は多いいが、ここには人間的な争閨[#「閨」に「ママ」の注記]も、愛慾も、小自我もない。只輝く星と咲き匂う花の雲と。星がまたたけば花もゆらぐ。星を仰ぎ花の美にうたれる時、吾人の心中一点の曇りもなく、只自然の悠久。花の生命がうつるのみ。
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ざら/\と櫛にありけり花埃 みどり女
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これは、又前句の清浄な人間離れした境地と違い、花見の群衆のほこりっぽさをあびて、髪も櫛の歯もざらざらと、花埃をつけている。人間臭い、風景である。
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花の前に顔はづかしや旅衣 園女
旅づかれ庭の桜にやる目かな より江
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元禄の句は、相変わらず主観を重く出し現代句は感情をあらわにせず、それとなく叙景にうらづけている。
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京にすみながら桜も咲きながら 桃子
こもりゐや花なき里にすみなれて より江
草庵を結んで花に置炬燵 あふひ
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花の京にすみながら、しかも花の盛
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