初めは二十八宿なりし也、ナクシヤトラといふ [#割り注終わり]にして、アラビアにては二十八宿なり。この類似は三者偶發的とするよりも、同一起源に基けるものと考ふるを至當とす。その起源に就きては、從來之れが研究に從へる西人の間に考説の區々なるありと雖、とまれセミチック族に起りしものならん。支那より西方に移り行きしものとは考ふる能はず。而してラッセンによれば二十八宿の印度に入りしは、西紀前一一五〇年頃ならんと。その眞僞は明ならざれども、支那に入れるもその前後なるべきか。二十八宿が西方より來れるを推するは、後世の支那歴史の大勢を通觀して歸納せらるゝ所、又西方との交通が比較的夙に行はれしことは、禹貢に流沙、弱水等今の新疆省の地域をいへるによりても旁證せらるべし。現に日を十二時に分つことも、五星[#ここから割り注] 土星を尚んで中央にする [#割り注終わり]の思想もアッシリアより支那に入り來れるもの也。
 五星によりて五行思想起り、易は伏羲、神農、黄帝、堯、舜の五帝を作りて、黄帝を堯の前におきたり。『書經』は堯以前につきては何事も載せざるに、後に至りて黄帝をその以前に存せりとするは、偶※[#二の字
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