『尚書』の高等批評
特に堯舜禹に就いて
白鳥庫吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)梨倶吠陀《リグヴェーダ》

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)八元八※[#「りっしんべん+豈」、第3水準1−84−59]
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 東洋協會講演會に於いて、堯舜禹の實在的人物に非ざるべき卑見を述べてより已に三年、しかもこの大膽なる臆説は多くの儒家よりは一笑に附せられしが、林〔泰輔〕氏の篤學眞摯なる、前に『東洋哲學』に[#ここから割り注] 余は近時林氏の注意によりて之を知れるなり[#割り注終わり]、近く『東亞研究』に、高説を披瀝して教示せらるゝ所ありき。
 茲に今林氏の好意に酬い、且その後の研究を述べて、儒家諸賢の批判を請はんと欲す。而して林氏の説に序を逐うて答ふるも、一法なるべけれど、堯舜禹の事蹟に關する大體論を敍し、支那古傳説を批判せば、林氏に答ふるに於いて敢へて敬意を失することなからん。こゝには便宜上後者によつて私見を述べんとするもの也。
 先、堯典に見るにその事業は
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