されて、知らぬ間に人が皆好いやうにして置いて呉れた。これから自分で自分の始末をせねばならぬ。それは当然だが、かういふ友に別れて独法師になるのが何となく心細い。僕は豪傑でも何でもないから、肯て痩我慢を言はぬ。
 午前十一時船は錨を抜いて神戸を出帆した。



底本:「現代日本紀行文学全集 中部日本編」ほるぷ出版
   1976(昭和51)年8月1日発行
初出:「東京朝日新聞」
   1908(明治41)年7月8〜14日
※発表時には「入露記」と題した。
入力:林 幸雄
校正:土屋隆
2004年12月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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