余が翻訳の標準
二葉亭四迷
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)如何様《いかよう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)丁度|桜花《さくら》が
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)佶倔※[#「敖/耳」、第4水準2−85−13]牙《きっくつごうが》
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翻訳は如何様《いかよう》にすべきものか、其の標準は人に依って、各《おのおの》異ろうから、もとより一概に云うことは出来ぬ。されば、自分は、自分が従来やって来た方法《しかた》について述べることとする。
一体、欧文は唯だ読むと何でもないが、よく味うて見ると、自ら一種の音調があって、声を出して読むとよく抑揚が整うている。即ち音楽的《ミュージカル》である。だから、人が読むのを聞いていても中々に面白い。実際文章の意味は、黙読した方がよく分るけれど、自分の覚束ない知識で充分に分らぬ所も、声を出して読むと面白く感ぜられる。これは確かに欧文の一特質である。
処が、日本の文章にはこの調子がない、一体にだ
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