いのだから、余程自分の手腕《うで》を信ずる念がないとやりきれぬ。自分はさすがにそれほど大胆ではなかったので、どうも険呑《けんのん》に思われて断行し得なかった。で、依然旧翻訳法でやっていたが、……
 併しそれは以前自分が真面目な頭で、翻訳に従事した頃のことである、近頃のは、いやもうお話しにならない。
[#地付き](明治三十九年一月「成功」)



底本:「平凡・私は懐疑派だ」講談社文芸文庫、講談社
   1997(平成9)年12月10日第1刷発行
底本の親本:「二葉亭四迷全集 第一、二、三、四、七巻」筑摩書房
   1984(昭和59)年11月〜1991(平成3)年11月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:長住由生
校正:もりみつじゅんじ
2000年5月4日公開
2006年3月27日修正
青空文庫作成ファイル:
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