@と雪江さんが一寸《ちょっと》驚くのを、阿母《かあ》さんが眼に物言わせて、了解《のみこ》ませて、
「彼処《あすこ》が一番明るくッて好《い》いから。」
「そう」、と一切の意味を面《かお》から引込《ひッこ》めて、雪江さんは澄して了った。
「おお、そうだっけ」、と阿母《かあ》さんの奥様は想出したように私の方を向いて、「荷物がまだ其儘でしたっけね。今案内させますから、彼方《あッち》へ行って荷物の始末でもなさい。雪江、お前|一寸《ちょっと》案内してお上げ。」
 雪江さんが起《た》ったから、私も起《た》って其跟《そのあと》に随《つ》いて今度は椽側へ出た。雪江さんは私より脊《せい》が低い。ふッくりした束髪で、リボンの色は――彼《あれ》は樺色というのか知ら。若い女の後姿というものは悪くないものだ。
 椽側を後戻りして又玄関へ出ると、成程玄関脇に何だか一間ある。
「此処よ。」
 と雪江さんが衝《つい》と其処へ入ったから、私も続いて中へ入った。奥様は明るいといったけれど、何だか薄暗い長四畳で、入るとブクッとして変な足応《あしごた》えだったから、先ず下を見ると、畳は茶褐色だ。西に明取《あかりと》りの小窓があ
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