ゥら欲しい欲しいてッてる彼《あれ》ね?」と娘の面《かお》を視て、薄笑いしながら、「彼《あれ》を買って頂いて上げるから……仕方がないから。」
「本当《ほんと》?」と雪江さんも急に莞爾々々《にこにこ》となった。私は見ないでも雪江さんの挙動《ようす》は一々分る。「本当《ほんと》? そんなら好《い》いけど……ちょいとちょいと、其代り……」と小声になって、「ルビー入りよ。」
「不好《いけ》ません不好ません! ルビー入りなんぞッて、其様《そん》な贅沢な事が阿父様《おとうさま》に願えますか?」
「だってえ……尋常《ただ》のじゃあ……」と甘たれた嬌態《しな》をする。
「そんならお止しなさいな。尋常《ただ》ので厭なら、何も強いて買って上げようとは言わないから。」
「あら! ……」と忽ち機嫌を損ねて、「だから阿母《かあ》さんは嫌いよ。直《じき》ああだもの。尋常《ただ》のじゃ厭だって誰も言てやしなくってよ。」
「そんなら、其様《そん》な不足らしい事お言いでない。」
「へえへえ、恐れ入りました」、と莞爾《にっこり》して、「じゃ、尋常《ただ》のでも好《い》いから、屹度《きっと》よ。ねえ、阿母《かあ》さん、欺《だ
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