「なり次第になって半歳《はんとし》も然うして居たんですよ。そうすると、私《あたし》の事がいつかお神さんに知れて、死ぬの生《いき》るのという騒ぎが起ってみると、元々養子の事だから……」
「養子なんですか?」
「ええ、養子なんですとも。養子だから、ほら、私《あたし》を棄てなきゃ、看《み》す看《み》す何万という身台を棒に振らなきゃならんでしょう? ですから、出るの引くのと揉め返した挙句が、詰る所《とこ》私《あたし》はお金で如何《どう》にでもなると見括《みくび》ったんでしょう、人を入て別話《わかればなし》を持出したから、私《あたし》ゃもう踏んだり蹶《け》たりの目に逢わされて、口惜《くや》しくッて口惜しくッて、何だかもうカッと逆上《のぼ》せッ了《ちま》って、本当《ほんと》に一|時《じ》は井戸川《いどかわ》へでも飛込ん了《じま》おうかと思いましたよ。」
「御尤《ごもっとも》です。」
「ですけど私《あたし》が死んじまや、幸手屋《さってや》の血統《ちすじ》は絶えるでしょう? それでは御先祖様にも、又ね、死んだ親達にも済まないと思って、無分別は出しませんでしたけど、余《あん》まり口惜《くや》しかったから
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