sどれほど》劣等の人間かのように見下《みくだ》し、得意になって語る友も友なら、其を聴いて敬服する私も私だ。心ある人から観たら、嘸《さ》ぞ苦々しく思われたろう。
此友から私は文学の難有《ありがた》い訳を種々《いろいろ》と説き聴かされた。今ではもう大抵忘れて了ったけれど、何でも文学は真理に新しい形を賦《ふ》して其生命を直接に具体的に再現するものだ、とか聴かされて、感服した。自然の真相は普通人に分らぬ、詩人が其主観を透《とお》して描いて示すに及んで、始めて普通人にも朧気《おぼろげ》に分って人間の宝となる、とか聴かされて、又感服した。恋には人間の真髄が動く、とか聴かされて、又感服した。其他《そのた》まだ種々《いろいろ》聴かされて一々感服したが、此様《こん》な事は皆|愚言《たわごと》だ、世迷言《よまいごと》だ。空想に生命を託して人生を傍観するばかりで、古本と首引《くびぴき》して瞑想するばかりで、人生に生命を託して人生と共に浮沈上下《ふちんじょうか》せんでも、人生の活機に触れんでも、活眼を以て活勢を機微の間《あいだ》に察し得んでも、如何《どう》かして人生が分るものとしても、友のいうような其様《そ
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