ましょう。
 その夜文三は断念《おもいき》ッて叔母に詫言をもうしたが、ヤ梃《てこ》ずったの梃ずらないのと言てそれはそれは……まずお政が今朝言ッた厭味に輪を懸け枝を添えて百|万陀羅《まんだら》并《なら》べ立てた上句《あげく》、お勢の親を麁末《そまつ》にするのまでを文三の罪にして難題を言懸ける。されども文三が死だ気になって諸事お容《ゆ》るされてで持切ッているに、お政もスコだれの拍子抜けという光景《きみ》で厭味の音締《ねじめ》をするように成ッたから、まず好しと思う間もなく、不図又文三の言葉|尻《じり》から燃出して以前にも立優《たちまさ》る火勢、黒烟《くろけぶり》焔々《えんえん》と顔に漲《みなぎ》るところを見てはとても鎮火しそうも無かッたのも、文三が済《すみ》ませぬの水を斟尽《くみつく》して澆《そそ》ぎかけたので次第々々に下火になって、プスプス燻《いぶり》になって、遂に不精々々に鎮火《しめ》る。文三は吻《ほっ》と一息、寸善|尺魔《せきま》の世の習い、またもや御意の変らぬ内にと、挨拶《あいさつ》も匆々《そこそこ》に起ッて坐敷を立出で二三歩すると、後《うしろ》の方《かた》でお政がさも聞えよがしの独
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