だ」
「実に母親《おふくろ》には面目《めんぼく》が御座んせん」
「当然《あたりまえ》サ、二十三にも成ッて母親さん一人さえ楽に養《すご》す事が出来ないんだものヲ。フフン面目が無くッてサ」
ト、ツンと済まして空嘯《そらうそぶ》き、烟草《たばこ》を環《わ》に吹《ふい》ている。そのお政の半面《よこがお》を文三は畏《こわ》らしい顔をして佶《きっ》と睨付《ねめつ》け、何事をか言わんとしたが……気を取直して莞爾《にっこり》微笑した積《つもり》でも顔へ顕《あら》われたところは苦笑い、震声《ふるいごえ》とも附かず笑声《わらいごえ》とも附かぬ声で、
「ヘヘヘヘ面目は御座んせんが、しかし……出……出来た事なら……仕様が有りません」
「何だとエ」
トいいながら徐《しず》かに此方《こなた》を振向いたお政の顔を見れば、何時しか額に芋※[#「虫+蜀」、第4水準2−87−92]《いもむし》ほどの青筋を張らせ、肝癪《かんしゃく》の眥《まなじり》を釣上げて唇《くちびる》をヒン曲げている。
「イエサ何とお言いだ。出来た事なら仕様が有りませんと……誰れが出来《でか》した事《こっ》たエ、誰れが御免になるように仕向けたんだエ
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