…」
「ソレ御覧なネ」
 両人とも暫らく無言。
「アノ本田さんは([#ここから割り注]この男の事は第六回にくわしく[#ここで割り注終わり])どうだッたエ」
「かの男はよう御座んした」
「オヤ善かッたかい、そうかい、運の善方《いいかた》は何方《どっち》へ廻ッても善《いい》んだネー。それというが全躰《ぜんたい》あの方は如才がなくッて発明で、ハキハキしてお出でなさるからだヨ。それに聞けば課長さんの所《とこ》へも常不断《じょうふだん》御機嫌伺いにお出でなさるという事《こっ》たから、必《きっ》とそれで此度《こんど》も善かッたのに違いないヨ。だからお前さんも私の言事《いうこと》を聴いて、課長さんに取り入ッて置きゃア今度もやっぱり善かッたのかも知れないけれども、人の言事をお聴きでなかッたもんだからそれでこんな事になっちまッたんだ」
「それはそうかも知れませんが、しかし幾程《いくら》免職になるのが恐《こわ》いと言ッて、私にはそんな鄙劣《ひれつ》な事は……」
「出来ないとお言いのか……フン※[#「やまいだれ+瞿」、第3水準1−88−62]我慢《やせがまん》をお言いでない、そんな了簡方だから課長さんにも睨
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