小悪戯《こいたずら》をしたもんだけれども、この娘《こ》はズー体《たい》ばかり大くッても一向しきなお懐《ぽっぽ》だもんだから、それで何時まで経ッても世話ばッかり焼けてなりゃアしないんだヨ」
「だから母親さんは厭ヨ、些《ちい》とばかりお酒に酔うと直《じき》に親子の差合いもなくそんな事をお言いだものヲ」
「ヘーヘー恐れ煎豆《いりまめ》はじけ豆ッ、あべこべに御意見か。ヘン、親の謗《そしり》はしりよりか些と自分の頭の蠅《はえ》でも逐《お》うがいいや、面白くもない」
「エヘヘヘヘ」
「イエネこの通り親を馬鹿にしていて、何を言ッてもとても私共の言事《いうこと》を用いるようなそんな素直なお嬢さまじゃアないんだから、此度《こんだ》文さんヨーク腹に落ちるように言ッて聞かせておくんなさい、これでもお前さんの言事なら、些《ちっ》たア聞くかも知れないから」
 トお政は又もお勢を尻目に懸ける。折しも紙襖《ふすま》一ツ隔ててお鍋の声として、
「あんな帯留め……どめ……を……」
 此方《こなた》の三人は吃驚《びっくり》して顔を見合わせ「オヤ鍋の寐言《ねごと》だヨ」と果ては大笑いになる。お政は仰向いて柱時計を眺《なが》
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