《はじめ》を云えば、こうで。
 この物語の首《はじめ》にちょいと噂をした事の有るお政の知己《しりびと》「須賀町《すがちょう》のお浜」という婦人が、近頃に娘をさる商家へ縁付るとて、それを風聴《ふいちょう》かたがたその娘を伴《つ》れて、或日お政を尋ねて来た。娘というはお勢に一ツ年下で、姿色《きりょう》は少し劣る代り、遊芸は一通り出来て、それでいて、おとなしく、愛想《あいそ》がよくて、お政に云わせれば、如才の無い娘《こ》で、お勢に云わせれば、旧弊な娘《むすめ》、お勢は大嫌《だいきら》い、母親が贔負《ひいき》にするだけに、尚《な》お一層この娘を嫌う※[#白ゴマ点、202−5]|但《ただ》しこれは普通の勝心《しょうしん》のさせる業《わざ》ばかりではなく、この娘の蔭《かげ》で、おりおり高い鼻を擦《こす》られる事も有るからで。縁付ると聞いて、お政は羨《うらや》ましいと思う心を、少しも匿《かく》さず、顔はおろか、口へまで出して、事々しく慶《よろこ》びを陳《の》べる。娘の親も親で、慶びを陳べられて、一層得意になり、さも誇貌《ほこりが》に婿《むこ》の財産を数え、または支度《したく》に費《つか》ッた金額の総
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