に無暗《むやみ》に辞《ことわ》ッておしまいなすッたの」
「目的なしに断わると云ッては或《あるい》は無考《むかんがえ》のように聞えるかも知れませんが、シカシ本田の言ッた事でもホンノ風評と云うだけで、ナニモ確に……」
縁側を通る人の跫音《あしおと》がした。多分お勢が英語の稽古《けいこ》に出懸《でかけ》るので。改ッて外出をする時を除くの外は、お勢は大抵母親に挨拶《あいさつ》をせずして出懸る、それが習慣で。
「確にそうとも……」
「それじゃ何ですか、弥々《いよいよ》となりゃ御布告にでもなりますか」
「イヤそんな、布告なんぞになる気遣いは有りませんが」
「それじゃマア人の噂《うわさ》を宛《あて》にするほか仕様が無いと云ッたようなもんですネ」
「デスガ、それはそうですが、シカシ……本田なぞの言事は……」
「宛にならない」
「イヤそ、そ、そう云う訳でも有りませんが……ウー……シカシ……幾程《いくら》苦しいと云ッて……課長の所へ……」
「何ですとえ、幾程《いくら》苦しいと云ッて課長さんの所《とこ》へは往《い》けないとえ。まだお前さんはそんな気楽な事を言てお出《い》でなさるのかえ」
トお政が層《かさ
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