ネいと云うとネ、助《す》けて遣《や》るッてガブガブそれこそ牛飲《ぎゅういん》したもんだから、究竟《しまい》にはグデングデンに酔てしまッて」
ト聞いて文三は満面の笑を半《なかば》引込ませた。
「それからネ、私共を家へ送込んでから、仕様が無いんですものヲ、巫山戯《ふざけ》て巫山戯て。それに慈母《おっか》さんも悪いのよ、今夜だけは大眼に看て置くなんぞッて云うもんだから好気《いいき》になって尚お巫山戯て……オホホホ」
ト思出し笑をして、
「真個《ほんと》に失敬な人だよ」
文三は全く笑を引込ませてしまッて腹立しそうに、
「そりゃさぞ面白かッたでしょう」
ト云ッて顔を皺《しか》めたが、お勢はさらに気が附かぬ様子。暫《しば》らく黙然として何か考えていたが、頓《やが》てまた思出し笑をして、
「真個に失敬な人だよ」
つまらぬ心配をした事を全然《すっぱり》咄《はな》して、快よく一笑に付して、心の清いところを見せて、お勢に……お勢に……感信させて、そして自家《じぶん》も安心しようという文三の胸算用は、ここに至ッてガラリ外れた。昇が酒を強《し》いた、飲めぬと云ッたら助《す》けた、何でも無い事。送り込
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