Tもどかしさ、モジモジしながらトウトウ二時間ばかりというもの無間断《のべつ》に受けさせられた。その受賃という訳でも有るまいが帰り際《ぎわ》になって、
「新聞の翻訳物が有るから周旋しよう。明後日《あさって》午後に来給《きたま》え、取寄せて置こう」
トいうから文三は喜びを述べた。
「フン新聞か……日本の新聞は英国の新聞から見りゃ全《まる》で小児《こども》の新聞だ、見られたものじゃない……」
文三は狼狽《あわ》てて告別《わかれ》の挨拶を做直《しな》おして※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]々《そこそこ》に戸外《おもて》へ立出で、ホッと一息|溜息《ためいき》を吐《つ》いた。
早くお勢に逢いたい、早くつまらぬ心配をした事を咄してしまいたい、早く心の清い所を見せてやりたい、ト一心に思詰めながら文三がいそいそ帰宅して見るとお勢はいない。お鍋に聞けば、一旦《いったん》帰ってまた入湯に往ったという。文三|些《すこ》し拍子抜《ひょうしぬ》けがした。
居間へ戻ッて燈火を点じ、臥《ね》て見たり起きて見たり、立て見たり坐ッて見たりして、今か今かと文三が一刻千秋の思いをして頸《くび》を延ばして待構え
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