アそ自家《じぶん》も常居《つね》から嫌《きら》いだと云ッている昇如き者に伴われて、物観遊山《ものみゆさん》に出懸けて行く……
「解らないナ、どうしても解らん」
 解らぬままに文三が、想像弁別の両刀を執ッて、種々《さまざま》にしてこの気懸りなお勢の冷淡を解剖して見るに、何か物が有ってその中《うち》に籠《こも》っているように思われる、イヤ籠っているに相違ない。が、何だか地体は更に解らぬ。依てさらに又勇気を振起して唯この一点に注意を集め、傍目《わきめ》も触らさず一心不乱に茲処《ここ》を先途《せんど》と解剖して見るが、歌人の所謂《いわゆる》箒木《ははきぎ》で有りとは見えて、どうも解らぬ。文三は徐々《そろそろ》ジレ出した。スルト悪戯《いたずら》な妄想奴《ぼうそうめ》が野次馬に飛出して来て、アアでは無いかこうでは無いかと、真赤な贋物《にせもの》、宛事《あてこと》も無い邪推を掴《つか》ませる。贋物だ邪推だと必ずしも見透かしているでもなく、又必ずしも居ないでもなく、ウカウカと文三が掴《つか》ませられるままに掴んで、あえだり揉《もん》だり円めたり、また引延ばしたりして骨を折て事実《もの》にしてしまい、今
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