小説総論
二葉亭四迷
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)孰《いずれ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)常ならざる者|豈《あに》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)二二※[#小書き片仮名ン、237−11]が四
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人物の善悪を定めんには我に極美(アイデアル)なかるべからず。小説の是非を評せんには我に定義なかる可らず。されば今書生気質の批評をせんにも予め主人の小説本義を御風聴して置かねばならず。本義などという者は到底面白きものならねば読むお方にも退屈なれば書く主人にも迷惑千万、結句ない方がましかも知らねど、是も事の順序なれば全く省く訳にもゆかず。因て成るべく端折って記せば暫時の御辛抱を願うになん。
[#ここで字下げ終わり]
凡そ形(フホーム)あれば茲に意(アイデア)あり。意は形に依って見われ形は意に依って存す。物の生存の上よりいわば、意あっての形形あっての意なれば、孰《いずれ》を重とし孰を軽ともしがたから
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