Bその一は千八百九十年の『英國繪入雜誌』(English Illustrated Magazine)に出たウォルター・ビザントの『人形の家――及其後』(The Doll's House―and After : Sir Walter Besant)で、それによるとノラの娘とクログスタッドの倅とが大きくなつて結婚約束をする。ヘルマーはノラの去つた後亂酒漢になつてしまふ。クログスタッドは倅のこの結婚が不賛成で、ノラの娘の兄弟が書いた僞證で娘を恐喝し、娘はそのために水に身を投げる。
またアメリカのイドナ・ダウ・チーニー夫人といふ女子參政權論者の女作家は少しおくれて『ノラの歸參、ヘンリック・イブセンの人形の家の後日談』(Nora's Returne; a sequel to The Doll's House of Henrik Ibsen : Mrs. Edna Dow Cheney)と題する小册子を著はした。これでは、ノラは、家を出た後看護婦として教育せられ、コレラの流行に際してヘルマーがそれに罹つたのを看護するため、身分を隱して昔の自分の家に雇はれ、再び彼れの命を救つてやる。病氣が恢復しかけた
前へ
次へ
全37ページ中21ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
島村 抱月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング