ッにて爲されたるものと有之候。この末文は事實に無之候。『ノラ』の發行せられて間もなく、これが飜譯者にしてまた北ドイツの諸劇場に對する小生の事務監督者たるベルリンのヴ※[#小書き片仮名ヰ、140−13]ルヘルム・ランゲ(Wilhelm Lange)氏より書面まゐり、それによれば、この劇の結末を變更したる一飜案が發行せらるゝのおそれあり、さすれば、北ドイツの諸劇場中には、多分その方を選びて興行するものあるに至るべしとのことに候ひき。
かゝる出來事を防がんため、小生は絶對的に必要なる場合を慮り、結末の場を變更したるものをランゲ氏まで送附いたし候。即ちノラは家を去らずして、無理にヘルマーに連れられ子供等の室の前に來たり、ちよつとしたる臺詞ありて、戸のところにくづをるゝ、幕下る、といふ場面に御座候。この變更は、小生みづから、飜譯者まで書面にて申遣はし候通り、この劇に對する「野蠻なる暴行」として呪ひ居り候。この改作の場面を用ふるは全然小生の意志に背きたるものに御座候。ドイツ劇場の多くはこれを用ひざるべしと信じ候。
ドイツとスカンヂネヴ※[#小書き片仮名ヰ、141−5]アとの間に文學上の便宜の存
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