きながら巨大な肉身をもてあつかっている、毎食牛肉の血の垂れるようなのをむしゃぶりつくような彼Aが「貧しい大工のクリスト」を説いていることが実に不調和で滑稽に見えて来た。金縁の鼻眼鏡、さっき出して見た金時計、太い指にはめている金指輪! (ああ汝、偽善者よ!)二千年の昔クリストを揺り動かした精神が平一郎をすっくと立たした。
「K先生!」
「何です」とK氏はじろり平一郎を見た。この不意の平一郎の起立に一同はひっそりとして瞳を彼に集めた。
「質問があります」
「あとになさい」
「いえ、これ以上A氏に言わすことはクリストに対する冒涜です!」
「――」
「何故、クリストの精神、人類の真の文化、神の国の実現を信ずるものはアメリカばかりなのです。僕にはそれが理解できませぬ。すでにここに一日本人である自分、大河平一郎はクリストの生活の真実さに涙を流し、クリストが信ずる神の国の地上に実現されることを信ぜずにはいられませぬ。そして自分は日本人です。自分は日本が神の国を実現することを信じたい。アメリカのみであるとの宣言は、アメリカがクリストの精神を生かしていないことの証拠であります。黄金づくめの装飾を身につけ
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