り睨みつけた。
「どうかしましたか」
「己には性に会わないようだから、止してくれたまえ! ホイットマンはそういう風な死の思想を抱いている人とは思われないが――いや有難う。もう止してくれたまえ――」
「どう君と合わないのです。昨日も友人と彼の『草の葉』を学校で読んで思わない発見に歓び合っていたのです、どう君に合わないのです」
「ホイットマンが詩人であるからだ。死と生とを別物のように考えているからだ。死といい生というのは人間の不完全な認識が勝手につけた名称に過ぎないのだと僕は信じます。こうしていることが生であるなら『死』といわれている現象も生の一部分です。死は休息じゃない。断じてない。死もまた生だ。だから死もまた苦痛だ。死んで己達が無くなると信ずることは人間が真理を認識する恐ろしさに堪えないで自分で自分の眼をかくすめかくし[#「めかくし」に傍点]に過ぎないのだ。こうして己達であるこの己達がどこにどうして全然無[#「無」に白丸傍点]くなることが出来ると思うのか。全然無[#「無」に白丸傍点]くなることの出来るものなら、こうしてここに表われはしない。表われている限り己達は永遠に有[#「有」に白丸
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