のだ! ついで男が幾万という財産を相場と遊蕩で蕩尽《とうじん》して朝鮮へ逃げて行ってしまったのだ! 己はもっと東京にいたかった。東京にいればやりたいことも多かった。しかし、自活しなくてはならない境遇に投げ出されてみるとそのまま東京にいることの出来ない意気地なしの己だったのさ。己は逃げ帰って、軽蔑している新聞記者となり、それも一年ばかり経つとそう軽蔑もしなくなりずる/\ひきずられてこうして二十五年の生をつないでいるのだが――己はこうしてお前に手紙を書きつつ独り自分の部屋に坐っていると、ある悲しい絶対的な厭世に迫られて来る。静子、お前にはこうした瞬間はないか。それは己達は遂に永遠の囚人でしかないということだ。人生という牢獄、世界という牢獄、ああ、たとえ宇宙が無窮無限であり、無数の星辰が無窮の時を無限の空間をめぐっているのだとしても、その無窮なる牢獄。静子、お前にはこの己の気持が分ってくれるか。物質は不滅であるそうだ。それが真理なら己はどうしよう。己のような不幸者はどうしたらよかろう。不滅! 永遠! ああこの人生が不滅でこの宇宙が永遠なら、己はどうしよう。己達は不滅に、そして永遠に無限の宇宙
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