はお前にも分ろう。大分黄金崇拝者じみたことを書いたね。誤解しないように、するならするでそれもよかろう。静子、己はお前にもう一度ラブレターを書くような心理状態になっているこのままで、少し書こう。己は越中の高岡の生まれだ。己は実の両親を知らない。どうして知らないか。嘘のようだがこうだ。ある豪商の一家を想像するがいい。そこに一人息子がいたのだ。年頃になって嫁を貰ったが子がないので暫くしてその嫁を離別してさらに若い嫁をめとったのだ。その時分はもうその主人の両親は死んでいない。若い嫁に一人の男の子が生まれた。その男の子が二つの春、主人は肺患で死んだのだ。若い嫁さんは二つの孤児を抱いて孤独の生涯を守るほどに貞節でも高邁の思想の所有者でも児に対する深い洞察を伴った愛をも感じていなかった。彼女は一人の男を婿入させた。先夫との間に出来た男の子が四つのとき、その嫁さんは父の異なった女の子を生んで、やがて翌年、先夫が残して行った肺患で死んだのだ。自分の児である嬰児と先夫と愛妻の子である男の子――己だ、四つの己を残された三十男の町人はどうして独りで生活出来るものかね。彼はさらに新しい嫁を迎えた。そして己は十歳
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