うと幾度も思ったことだった。彼はおずおず言い出した。
「大河君。今夜僕の家へ来ませんか。僕の知っている人の家を君に紹介しますから」
「何のために?」
「その人は僕、一年ばかりも前から交わっている人です。僕は君がその人達と仲よくすることが、君のために好《よ》くはないかと思っています――来てくれませんか。僕は悪いことは言わないつもりです」
「文学の仲間かい」
「そうですよ。学校などで想像されもしない程に自由な、いつも胸底深くに涙を湛えたような人達の群があるのです。僕はその人達によってどれ程苦しみを逃れたか知れません。大河君、今夜いらっしゃい。僕は案内します」
「君は僕に隠していたのだね」
「許してくれたまえ。僕にも一つの――一つの秘密はあったのです。しかしそれも今打ち明けてしまったのです。もう君には僕はその一つの秘密――も――もっていないというものです。ほんとに今夜来てくれたまえ」深井は能動的で熱情に恵まれていた。
「行くよ」
 平一郎は答えて何故か涙が瞳に滲んで来るのを覚えた。ああ、意気地ない自分。愛する少年に苦しみを見抜かれ、救いを教えられる腑甲斐ない自分、と彼は思って泣いた。
 細か
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