死んだ人間のように自分の一生をこうした啀み合いをして終らなくてはならないのだろうか。そうだとは信じられない。どうしたって信じられない。せめては自分一人でもがこの人生を生き生きした美しい悦びに充ちた人生であるようにしようとの意思を抱いてはならないのであろうか? それは出来ないことかも知れない。しかし出来ないことだとは言えまい。出来ることかも知れないではないか? そうです、出来ることです。きっと自分がやってみせます。死んでもやってみせます――ああ」と彼は深碧の大空を仰いで、「やらして下さい」と何かに祈るように跪いた。「使命」の感が彼に燃えたのである。

 平一郎は午後四時頃平気な様子で家へ帰った。母へ自分から停学のことを知らす気になれなかった。知れるなら仕方がない、知れなければどうかして知らしたくないと考えた。どうしてよいか分らなかった。しかし、どうにかしなくてはならないものが彼の根元に蠢《うご》めき始めていた。彼はぐっすり夕暮まで寝た。
「平一郎、平一郎、どなたか戸外《そと》で呼びに来ていらっしゃるそうですよ」
 彼は起きた。米子が笑いながらお光と彼の顔を見比べていた。
「誰?」
「吉倉
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