殖えよ、大川村の野に充てよ、と一族の者は心から祈った。こうして労力を惜しまず土地を耕す者が殖やされ、血と血が恐ろしい複雑ないりくり[#「いりくり」に傍点]を錯乱して、濁って行った。食う欲望、住む欲望、婬乱な野獣のような渇望、子が親を殺したり、妻が夫を殺したり、友が友を殺したり、そうしてその殺し合う仇敵の間の悪血の交流。そのようにして時が過ぎて行った。太陽は日々に東方より平野を照らし、星辰は夜々空に輝き、恐らく同じ地の上には歴史が他の人々によって生活されている間を、大川村の人達は大川村より外の世界を知らずに生活して来ていた。春、夏、秋の期節には恵まれた北国の野には快い労働と快い婬楽が人々の魂を痺《しび》らしたけれど、あの暗鬱な圧し下がる十二月の空から昼夜の別もなく重い氷雪が降りしきり、西比利亜《シベリア》嵐が吹きつける恐ろしい冬は常に人々を脅かした。人間よ、汝等の地上に栄えることを誰が許したか。滅びよ、滅びよ、滅びつくせよ、と冬は語った。樹木の色の見えない三、四カ月の後、再び春が廻り来る頃、潰れた村の家の中に凍死した村人の骸《なきがら》が毎年五十人を下らなかった。しかし滅ぼす力も自然なら
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