うみやう》赫灼《かくしやく》として闇夜《やみよ》なき明治《めいぢ》の小説《せうせつ》が社会《しやくわい》に於ける影響《えいきやう》は如何《いかん》。『戯作《げさく》』と云へる襤褸《ぼろ》を脱《ぬ》ぎ『文学《ぶんがく》』といふ冠《かむり》着《つ》けしだけにても其|効果《かうくわ》の著《いちゞ》るしく大《だい》なるは知《し》らる。
英吉利《いぎりす》は野暮堅《やぼがた》き真面目《まじめ》一方《いつぱう》の国《くに》なれば、人間《にんげん》の元来《ぐわんらい》醜悪《しうあく》なるにお気《き》が附《つ》かれずして、ゾオラ[#「ゾオラ」に傍線]が偶々《たま/\》醜悪《しうあく》のまゝを写《うつ》せば青筋《あをすじ》出して不道徳《ふだうとく》文書《ぶんしよ》なりと罵《のゝし》り叫《わめ》く事さりとは野暮《やぼ》の行《い》き過《す》ぎ余《あま》りに業々《げふ/\》しき振舞《ふるまひ》なり。さりながら論語《ろんご》に唾《つ》を吐《は》きて梅暦《むめごよみ》を六韜三略《りくとうさんりやく》とする当世《たうせい》の若檀那《わかだんな》気質《かたぎ》は其《そ》れとは反対《うらはら》にて愈々《いよ/\》頼《た
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