る事|頗《すこぶ》る甚《はなは》だしけれど、人気《じんき》の前《まへ》に枉屈《わうくつ》して其|奴隷《どれい》となるは少《すこ》しも珍《めづ》らしからず。大入《おほいり》だ評判《ひやうばん》だ四|版《はん》だ五|版《ばん》だ傑作《けつさく》ぢや大作《たいさく》ぢや豊年《ほうねん》ぢや万作《まんさく》ぢやと口上《こうじやう》に咽喉《のど》を枯《か》らし木戸銭《きどせん》を半減《はんまけ》にして見《み》せる縁日《えんにち》の見世物《みせもの》同様《どうやう》、薩摩《さつま》蝋※[#「虫+燭のつくり」、第4水準2−87−92]《らふそく》てら/\と光《ひか》る色摺《いろずり》表紙《べうし》に誤魔化《ごまくわ》して手拭紙《てふきがみ》にもならぬ厄介者《やくかいもの》を売附《うりつ》けるが斯道《しだう》の極意《ごくい》、当世《たうせい》文学者《ぶんがくしや》の心意気《こゝろいき》ぞかし。さりながら人気《じんき》の奴隷《どれい》となるも畢竟《ひつきやう》は俗物《ぞくぶつ》済度《さいど》といふ殊勝《しゆしよう》らしき奥《おく》の手《て》があれば強《あなが》ち無用《むよう》と呼《よ》ばゝるにあらず、却
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