《しか》なり犬《いぬ》なり猫《ねこ》なるを妨《さまた》けず。稼《かせ》ぐものあれば遊《あそ》ぶ者あり覚《さ》める者あれば酔《ゑ》ふ者あるが即ち世《よ》の実相《じつさう》なれば己《おの》れ一人《ひとり》が勝手《かつて》な出放題《ではうだい》をこねつけて好《い》い子《こ》の顔《かほ》をするは云はふ様《やう》なき歿分暁漢《わからずや》言語同断《ごんごどうだん》といふべし。縦令《たとひ》石橋《いしばし》を叩《たゝ》いて理窟《りくつ》を拈《ひね》る頑固《ぐわんこ》党《とう》が言《こと》の如く、文学者《ぶんがくしや》を以《もつ》て放埓《はうらつ》遊惰《いうだ》怠慢《たいまん》痴呆《ちはう》社会《しやくわい》の穀潰《ごくつぶ》し太平《たいへい》の寄生虫《きせいちう》となすも、兎《と》に角《かく》文学者《ぶんがくしや》が天下《てんか》の最幸《さいかう》最福《さいふく》なる者たるに少《すこ》しも差閊《さしつかへ》なし。然《しか》るを愚図々々《ぐづ/\》と賢《さか》しらだちて罵《のゝし》るは隣家《となり》のお菜《かず》を考《かんが》へる独身者《ひとりもの》の繰言《くりごと》と何《なん》ぞ択《えら》まん。

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