低《ひく》しとなさん。濁醪《どぶろく》を引掛《ひつか》ける者が大福《だいふく》を頬張《ほゝば》る者を笑《わら》ひ売色《ばいしよく》に現《うつゝ》を抜《ぬ》かす者が女房《にようばう》にデレ[#「デレ」に傍点]る鼻垂《はなたらし》を嘲《あざけ》る、之れ皆|他《ひと》の鼻《はな》の穴《あな》の広《ひろ》きを知《しつ》て我《わ》が尻《しり》の穴《あな》の窄《せま》きを悟《さと》らざる烏滸《をこ》の白者《しれもの》といふべし。窮理《きゆうり》決《けつ》して迂《う》なるにあらず実践《じつせん》何《なん》ぞ浅《あさ》しと云はんや。魚肴《さかな》は生臭《なまぐさ》きが故《ゆゑ》に廉《やす》からず蔬菜《やさい》は土臭《つちくさ》しといへども尊《たふ》とし。馬《むま》に角《つの》なく鹿《しか》に※[#「馬+※[#柳の正字、第4水準2−14−72]のつくり」、219−16]《たてがみ》なく犬《いぬ》は※[#「口+若」、219−16]《にやん》と啼《な》いてじやれ[#「じやれ」に傍点]ず猫《ねこ》はワン[#「ワン」に傍点]と吠《ほ》えて夜《よ》を守《まも》らず、然《しか》れども自《おのづか》ら馬《むま》なり鹿
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