《ずり》とかの色表紙《いろべうし》を付《つ》けて売出《うりだ》され、二号《にがう》活字《くわつじ》の広告《くわうこく》で披露《ひろう》さるゝ外《ほか》は何《なん》の慾《よく》もなき気楽《きらく》三|昧《まい》、あツたら老先《おひさき》の長《なが》い青年《せいねん》男女《なんによ》を堕落《だらく》せしむる事は露《つゆ》思《おも》はずして筆費《ふでづひ》え紙費《かみづひ》え、高《たか》が大家《たいか》と云はれて見《み》たさに無暗《むやみ》に原稿紙《げんかうし》を書《か》きちらしては屑屋《くづや》に忠義《ちうぎ》を尽《つく》すを手柄《てがら》とは心得《こころえ》るお目出《めで》たき商売《しやうばい》なり。月《つき》雪《ゆき》花《はな》は魯《おろ》か犬《いぬ》が子《こ》を産《う》んだとては一句《いつく》を作《つく》り猫《ねこ》が肴《さかな》を窃《ぬす》んだとては一杯《いつぱい》を飲《の》み何《なに》かにつけて途方《とはう》もなく嬉《うれ》しがる事おかめ[#「おかめ」に傍点]が甘酒《あまざけ》に酔《ゑ》ふと|仝《おな》じ。
斯《か》くの如《ごと》く文学者《ぶんがくしや》は身分《みぶん》不相応《ふ
前へ 次へ
全27ページ中18ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三文字屋 金平 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング