き驚異を發見したと叫ぶ。
儀式
村へくると僕は肩の圭角をといて
足を歩くにまかして何の制限も加へず
眼のかがやくままに、血のあたたまるままに
正直に自分を風のなか日のなかに
ときほごし、ときほごし
大きい呼吸とのろい運動とにつれて
この地球への尊敬と愛情をそこら中へ
ゆつたりとしてふりまいて歩く
棕櫚の花
空中から
青い扇をかさね、かさねて
棕櫚は黄金いろの花をひろげるよ
ねぼけてしまつた古い黄金の綱に
かすかな昔の回想を編んで
素朴な、素朴な、今時はやらない
もうろうとしたその回想を
まひるの人人の上に影としてひろげてゐるよ
所有權
村村の靜かな地主達!
僕はこの立派な雜木林と草つ原の
あたらしい二重三重の權利を感情で爭ふ
僕は君達の風と大氣と精神を
木木がしつとりととりかこみ
どんなに地球の生の神神と
あでやかな季節の娘たちによつて
大きく味方され力を得てゐるかが
うらやましくてたまらないから。
松の山
かさなり、うち重なり
松の山、更に松の山ばかり
いくら眺めても松ばかりの
あざやかな酸と、影つた緑青の
すが/\として味氣なき田舍景色よ
颯と朝の明
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