清めよう。

  青金

一つの地球儀をしづかに庭へ置いて
ひらひらする多くの航海圖をひらき、よみふけり
影と光をもてる感覺をちらし、ちらし
シヤツにのぼつてくる花冠のやうな日ざしを
いつぱいに肩にうけて
さて僕は精神の港を自家の地面へ畫かう
青青とした金色の葉むらと日の光りに
さらさらと色づけられた六月の正午の
華やかな點景の中心として。

  水のほとりにての感想

幸福はとんでゐる
自然の快樂もとんでゐる
明るいあちこちの誰もゐない處に
一日の虹のうつりかはりと
めぐるあたらしい季節の馬車が
われわれの頭上いちめんに通行する
すき透り、吹きまはり
精神の尖端の波止場を優しく、美しく
爽かに、二重の耀きを水の面に見せて
朝紅から夕映えの尺度をもち
季節は麥の穗のやうに映り、映る。

  夏霞

つづられ懸る木の間の拱門《アーチ》から
水星いろに照りうかぶ野面ながめつつ
ちらちらと幹の影をぬひ
一歩一歩と水をしたひ、幽かなる空氣をうねり
髮をふかれ、感觸する枝に近より
片田舍の疎林を喜び、淋しみ
ほのかな蝶蝶が畫く風の點景を
わたしは青い西洋紙の手帳にうつして
はるばる村の果てよりく
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