モコウはたまらなく心細くなる、さればとてみなにうまいものを食べさせて、その喜ぶ顔を見るのが、モコウの第一の楽しみなのである。
 ところが、この心配《しんぱい》もモコウの頭からきえるときがきた。ゴルドンはある日、だちょうの森を散歩したとき、一むらの木のその葉、うすむらさきの色をなせるのを見ておどりあがって喜んだ。それは砂糖の木であった。一同はこの木の幹《みき》をきって、そのきり目からふきだすところの液《えき》をあつめて、それを煮つめると、なべの底に砂糖のかたまりがのこった。その味は甘蔗《かんしょ》からとったものにはおとるが、料理に使うには十分である。
 砂糖がどんどんできる、酒もできる、ただたりないのは野菜《やさい》だけである。
 だがそのかわりに肉類は十分になった、富士男ドノバンらは三日のうちに、森のなかで、五十余頭のきつねをとったので、りっぱなきつねの毛皮は冬の外套用《がいとうよう》としてたくわえられた。それからまもなく少年連盟は総動員《そうどういん》をもって海ひょう狩りの遠征を挙行《きょこう》した。
 海ひょう狩りの目的は、サクラ湾に群棲《ぐんせい》する海ひょうをとって、その油をと
前へ 次へ
全254ページ中90ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング