「やあ、どうした、天下の大騎手《だいきしゅ》」
 少年らはうちはやした。
「だまって見ておれ」
 サービスはかくかくとのぼせあがってどなりながら、五、六回|転落《てんらく》ののち、やっとだちょうの背中に乗った。
「どうだい」
 とかれは一同を見おろして微笑《びしょう》した。
「いよう、うまいうまい」
「これから走るところを見せてやるぞ、びっくりしてこしをぬかすなよ」
「見せてくれ」
「ようし」
 サービスは手綱《たづな》をとって、だちょうの目かくしをはずした。その一せつな! だちょうはかなたの森をさしてまっしぐらに走りだした。脚《あし》は長し、食には飽《あ》きたり、自由を得ただちょうの胸には、春風吹きわたり、ひづめの下には春の雲がわく。
「やあやあ、天下の名馬!」
 少年たちはあっけにとられてかっさいした。と同時に、サービスの声がはるかにきこえた。
「助けてくれい」
 一同はわれさきにと走った。サービスは林のなかに投げだされて、だちょうは影も形もない。
「おい、どうした」
 とガーネットがいった。
「うん」
「天下の名馬はどうした」
 とゴルドンがいった。
「うん」
「どうしたんだ」
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