「これは天下の名馬になるんだ」
「そんなものは役にたちません、食べてしまうほうがいい」
 サービスとモコウがあらそっているのを見て、ほかの少年たちはサービスをからかった。
「サービス君、きみはこのだちょうを名馬になるなるというが、いっこうに名馬にならないじゃないか」
「あわれなる友よ」とサービスは妙な声でいった。「千里の馬ありといえども、伯楽《はくらく》なきをいかにせん、千里のだちょうありといえども、きみらには価値《かち》がわからない」
「文句をいわずに乗って見せたまえ」
「しからば乗って見せてやろうか、だちょうの快足とぼくの馬術を見て、びっくりしてこしを抜かすなよ」
 サービスはこういって、だちょうの首をしずかになでた。
「おい、しっかり走れよ」
 かれはまず、その首に手綱《たづな》をつけた、それから両眼に目かくしをかけ、バクスターとガーネットにひかせて、しずしずと広場の中央にあゆみよった。
 一同はかっさいした。サービスは得意満面《とくいまんめん》、やっと声をかけて、だちょうの背に乗らんとしたが、だちょうがおどろいてからだをゆすったので、つるつるとすべって、草の上にどしんと落ちた。
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