りもっと近くに、なにものかほゆる声がきこえた。
「いよいよ変だぞ」
声がおわらぬうちに、フハンはあわただしく洞のなかをかぎまわったが、とつぜん疾風《しっぷう》のごとく洞《ほら》の外へ走り去った。一日の労役《ろうえき》をおわって一同は晩餐《ばんさん》のテーブルについたが、フハンは帰ってこない。
「フハン、フハン」
みんながよんでも、やっぱりフハンのすがたは見えない。ドノバンは湖辺《こへん》へゆき、イルコックは川の岸にのぼり、一同は手をわけてフハンをさがした。
九時はすぎた、森は暗い、一同はたがいに黙然《もくねん》として洞《ほら》へ帰った。
「どこへいったろう」
「猛獣にでも殺されたのかもしらん」
人々が語っていると、とつぜんフハンのほえる声がした。
「ああトンネルのなかだ」
富士男はまっさきにトンネルにとびこんだ、年長者は手に手に武器をとって立ちあがった、年少者はいずれも毛布《もうふ》を頭からかぶって、うつぶせになった、すると富士男はふたたびトンネルから出てきた。
「この壁《かべ》のうしろに、もう一つの洞《ほら》があるにちがいない」
「そうかもしれないよ、そこにいろいろな動物が
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