われの食料とは無関係《むかんけい》だ」
「なるほど」
だちょうはサービスに一任することにきめた。この日はとうとう物置きに適当《てきとう》な洞《ほら》を発見することができなかった。そこでバクスターの考案《こうあん》で、洞《ほら》の内部の壁のやわらかいところをほって、室をひろげることにした。壁のやわらかいところには、木材の支柱《しちゅう》をほどこして崩壊《ほうかい》をふせぎ、年長者はつるはしをふるい、年少者は岩くずや石きれを運んでは、洞の外にすてた。
三十日の午後には、五、六尺のトンネルができた、と、とつぜんふしぎな事件が出来《しゅつたい》した。
富士男はトンネルの奥で、しきりに壁《かべ》をほっていると、どこやらに奇妙《きみょう》なうなり声をきいた。
「なんだろう!」
ゴルドンもバクスターも、同時にその声をきいた、三人はすぐドノバン、イルコック、ウエップ、ガーネットの年長連《ねんちょうれん》をよんで相談した。
「なんでもないよ、洞《ほら》のなかだからなにかの反響《はんきょう》にちがいない」
とドノバンはいった。一同はふたたびつるはしをふるってほりつづけた。と夕方になると、さっきよ
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