くちばしで二つ三つつついた。
「なにをちくしょう!」
 つかれたサービスはものともせずに、だちょうののどをしめつけしめつけした。
「なにか縄《なわ》をくれ」
「よしきた」
 一同は縄やバンドをつなぎあわせて、穴のなかへおろした。
「ひいてくれ」
 一同が縄《なわ》をひくと! 見よ! たくたくたる丈余《じょうよ》の灰色の巨鳥《きょちょう》! 足はかたくしばられ、恐怖《きょうふ》と疲労《ひろう》のために気息《きそく》えんえんとしている。
「やあ大きなものだなあ」
 一同があきれて見まもっていると、サービスとフハンが穴から出てきた。
「うまいぞうまいぞ、当分ごちそうができるぞ」
 とモコウはおどりあがって喜んだ。
「じょうだんじゃない、これを食われてたまるもんか」
 とサービスはいった。
「食わずにどうするつもりだ」
「後生《ごしょう》だから命だけは助けてくれよ、いまにこれをかいならして乗馬にするんだから」
「だがわれわれの食料の倹約《けんやく》しなければならないのに、この鳥をかう食料はどうするつもりか」
 とゴルドンがいった。
「それは心配するなよ、鳥は木の葉や草を食って生きるものだ、われ
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