。
ドノバン(米)サービス(仏)ウエップ(独)グロース(米)の四人は毎日銃をかたにして、森や沼をさがしまわっては、必ず多少の小鳥をうって帰った。ある日かれらは、湖畔《こはん》にそうて一キロメートルばかり北の森のなかにはいってゆくと、そこに人の手をもってほったとおぼしき深い穴がいくつもあるのを見た。穴の上にはちょうどおとし穴のように、表面だけ木の枝や草などを縦横《じゅうおう》にかけわたしてある、そのなかの一つの底には、動物の骨のようなものがちらばってある。
「なんだろう」
とサービスがいった。
「たぶん山田先生がけものをとるためにほったおとし穴だろう」
「そうかね」
サービスは腕をくんでしばらく考えてからいった。
「それじゃ、この穴をかくしておこうじゃないか、ひょっとしたらなにか大きなけものがひっかかるかもしれないよ」
「そんなことがあるもんか、ぼくらがこうして毎日鉄砲をうつから、けものは遠くへ逃げてしまったよ」
「だが、どうかしてくるかもしらない」
サービスは三人の笑いをよそにして、一生けんめいに木の枝を運んで穴をかくした。
天気は日ましに寒いが、湖や川が結氷《けっぴょう》す
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