げ》が立つスープ、コーンビーフ、小鳥やき、チーズ、ゼリー、水をわったぶどう酒などがある。一同は腹がはちきれるまで食べたり飲んだりした。なかには動けなくなってコクリコクリ居ねむりをはじめたものもあった。「だが諸君」とゴルドンはいった。「ぼくらは今後この洞穴のなかで生命《いのち》をつながなければならん、それはひっきょう山田先生のおかげである、ぼくらは礼として、まず山田先生の墓《はか》に、おじぎをするのが至当《しとう》じゃなかろうか」
「それはそうだ」
ドノバンも富士男も賛成《さんせい》した。一同はうちつれて山田左門の墓にもうで、ゴルドンの慷慨淋漓《こうがいりんり》たる弔詞《ちょうし》のもとに礼拝《らいはい》をおわった。
九時になった、ドノバンとイルコックが見張り番をすることになって、一同は前後も知らずにねむった。
翌日から一同はいかだの貨物運搬《かもつうんぱん》をつづけた。それからいかだをといて、その木材を岩壁《がんぺき》の下につみあげた。
工学博士バクスターは、洞《ほら》の壁がさまでかたくないのを見て、そこをうちぬいてかまどの上に煙突《えんとつ》をつけたので、モコウは非常に喜んだ
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