があるので、たがいに声をかけあうことにした。七時になるともう日はしずんで、前進することができない。四人は森のなかに一|泊《ぱく》することにした。
 翌日四人はふたたび前進をつづけた、四人の目的は、この地が、島か大陸かを見さだめることと、いま一つは、冬ごもりをする洞穴《どうけつ》を、さがしあてることである。四人は大きな湖水のへんを歩きつづけた、だがこの日もまた、一頭の猛獣《もうじゅう》にもあわず、一点の人の足あとも発見しなかった。ただ二、三度、なんとも知れぬ大きな鳥が、森のなかを歩いているのを見た。
「あれはだちょうだ」
 とサービスはいった。
「もしだちょうとすればもっとも小さいだちょうだ」
 とドノバンは笑った。
「しかしだちょうだとすると、ここはアメリカかもしれんよ、アメリカはだちょうが多い」
 四人はこの夜、小さな川のほとりに野営《やえい》した。
 第三日の朝四人は、川の右岸にそうて、流れをおうてゆくと右に一帯の岩壁《がんぺき》を見た。
「やあ、サクラ湾《わん》の岩壁《がんぺき》のつづきじゃないか」
 とサービスがいった。サクラ湾《わん》とは、少年連盟のサクラ号が漂着《ひょうちゃ
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