というと、イヤぼくは左へゆくといったり、いつも他人に反対して、自分のわがままをつらぬこうとする。ドノバンはいわゆるアマノジャクで、そのごうまんな米国ふうの気質《きしつ》から、いつも富士男を圧迫《あっぱく》して自分が連盟の大将《たいしょう》になろうとするくせがある。富士男が一同に尊敬せらるるのを見ると、かれは嫉妬《しっと》にたえられぬのであった。
 このいとうべき性癖《せいへき》があるドノバンに、なにからなにまで敬服しているのは、そのいとこのグロースであった。グロースはなんでも他人に感服するくせがある。かれには自分の考えというものはなく、ただドノバンのいうがままにしたがうのである。
 この三人は同年で十五歳だが、いま一人、十六歳の少年ゴルドンがある、かれは英国人の子で、幼にして両親にわかれ、いまでは他人の手にそだてられているが、天稟《てんぴん》の正直と温和で謙遜《けんそん》で冷静《れいせい》な点において、なんぴとからも尊敬せられ、とくに富士男とは親しいあいだがらである。
 その他の少年をいちいち紹介《しょうかい》するために、国籍《こくせき》と年齢《ねんれい》を左に略記《りゃっき》する。

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